黄泉比良坂
黄泉比良坂(よもつひらさか)は、『古事記』にあの世とこの世との境界にあると記された坂で、島根県松江市の揖夜神社近くに比定されています。戦前、紀元二千六百年記念として、地元の町長により「神蹟黄泉平坂伊賦夜坂伝説地」の石碑が建てられました。
旅行先の地図
旅行先の概要
所在地 | 島根県松江市東出雲町揖屋地内 |
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交通 |
山陰自動車道「東出雲IC」から車で約10分 山陰本線「揖屋駅」から徒歩約20分 |
拝観料 | 無料 |
駐車場 | 無料の舗装された駐車場あり |
URL | 松江観光協会>黄泉比良坂(よもつひらさか) |
連絡先 | 松江市東出雲支所地域振興課 0852-55-5841 |
歴史・由来
黄泉比良坂(よもつひらさか)は、『古事記』にあの世とこの世との境界にあると記された坂で、島根県松江市の揖夜神社近くに比定されています。
『古事記』には、亡くなったイザナミを慕ってあの世にあたる黄泉国(よみのくに)を訪れたイザナギが、腐乱して蛆が涌いたイザナギの変わり果てた姿に驚いて逃げたところ、黄泉醜女(よもつしこめ)らに追いかけられたため、黄泉比良坂で辟邪の効果がある桃を相手に投げつけ、千引(ちびき)の岩で坂道を塞いで、災難を逃れたとされています。
『古事記』には、「故(かれ)、其の謂ふ所の黄泉比良坂は、今謂ふ出雲国の伊賦夜坂(いぶやざか)なり」とも記されており、江戸時代の国学者の平田篤胤は、「伊賦夜坂」は『出雲国風土記』意宇郡の条にある「伊布夜社(いふやのやしろ)」、すなわち現在の揖夜(いや)神社の近くにある坂のことだと読み解いています。
このため、紀元二千六百年にあたる昭和15年(1940)、回転式稲扱機の発明で知られ、揖屋駅近くに記念館も建てられている当時の揖屋町長・佐藤忠次郎が私財を投じ、揖夜神社の南側の古道沿いの夜見路谷とよばれる場所を整備した上、「神蹟黄泉平坂伊賦夜坂伝説地」の石碑を建てました。
ここは現在でも出雲神話を辿る観光名所のひとつとなっており、河原れんの小説『瞬(またたき)』が映画化された際、岡田将生が演じるバイク事故で亡くなった恋人に再び会うため、北川景子演じる主人公の女性がラストシーンで訪れた場所のロケ地にもなっています。
黄泉比良坂伝説地には、注連縄を張った石柱の奥に、伝説地の石碑と、千引岩とされる大きな岩が置かれているほか、最近では比良坂神蹟保存会と東出雲ライオンズクラブにより、死別した家族などへの思いを綴った「天国への手紙」を募集する手製のポストが設置されています。
車椅子で旅行するポイント
神蹟黄泉平坂伊賦夜坂伝説地碑 千引岩:イザナギが黄泉比良坂を塞いだ大岩 附谷:イザナミの跡をつけてイザナギが通ったとされる谷の地名 塞の神:古道の峠に祀られる道祖神 |
移動のしやすさ
★★★☆☆
バリアフリーの状況
神蹟黄泉平坂伊賦夜坂伝説地碑がある場所は高台の上だが、手前まで舗装済みの駐車場になっているため、ここから全体が眺望できる。駐車場の外周の舗装路を歩行すれば高台上に行けるようになっているが、道幅が狭く、両サイドはため池と駐車場である。
周辺の名所・観光スポット
カラコロ工房
カラコロ工房は、昭和初期の旧日本銀行松江支店の建物を活用した、「匠」をテーマとする製造・販売一帯型の工芸館。松江城に近い中心市街地にある。内部にはガラス・めのう細工、木工、陶芸作家のブランドショップやレストランなどの飲食施設があるほか、工房での制作体験もできる。
【身障者用トイレ・駐車場・スロープ・エレベーター・車椅子貸出あり】
■参考リンク:カラコロ工房