地蔵堂

2017年1月1日寺院

地蔵堂は、広島県竹原市にある小堂で、塩田による製塩が盛んだった江戸時代、かつての下市の境界の守りとして設けられたものです。大火による焼失後に代官の鈴木重仍が再建し、さらに現在の建物は昭和2年(1927)の再建となっています。この一帯には「安芸の小京都」とよばれるほどに江戸時代の商家の街並みが良好に残っていることから、竹原地区重要伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けています。

旅行先の地図

旅行先の概要

御本尊 地蔵菩薩
所在地 広島県竹原市本町地内
交通 JR呉線「竹原駅」から徒歩約15分
JR呉線「竹原駅」から芸陽バスで約4分、「新港橋」停留所下車、徒歩約8分
山陽自動車道「河内IC」から車で約20分
拝観料 無料
駐車場 竹原市新町市営駐車場、榎町市営駐車場、道の駅たけはら駐車場のいずれかを利用
【市営駐車場は有料、道の駅駐車場は無料、すべて舗装済み、新町市営駐車場および道の駅たけはらに身障者用区画それぞれ2台、3台】
URL
連絡先 竹原市産業振興課 0846-22-7745
西方寺 0846-22-2236

歴史・由来

地蔵堂は、広島県竹原市にある小堂で、塩田による製塩が盛んだった江戸時代、かつての下市の境界の守りとして設けられたものです。

竹原市一帯は、平安時代には下鴨神社の荘園となっており、その後は市ができるなどして交易で栄えますが、江戸時代に入ると、広島藩の政策により沖合が埋め立てられ、新田開発が進みます。

開発された新田は農地としては適さなかったものの、入浜式塩田の用途に切り替えたところ良質な塩の製造に成功し、積出しをする港湾機能の隆盛とあわせて、竹原の地には製塩業、廻船業、酒造業などを営む豪商があらわれるようになりました。

地蔵堂はこうした江戸時代の商家の街並みが残り、「安芸の小京都」ともよばれる竹原地区重要伝統的建造物群保存地区のなかに位置しており、かつて上市、下市とわかれていた時代に、上市の「胡堂」と同様に、下市の境界の守り神としての意味合いで設けられたものとみられます。

慶長15年(1610)、下市の大火によって焼失しましたが、加茂郡代官の鈴木四郎右衛門重仍(しげより)によって慶安2年(1649)に再建され、さらに現在のものは昭和2年(1927)の再建となっています。

この鈴木重仍は、製塩業で知られる赤穂から技術者を招き、竹原における塩田開発を推進した人物であり、境内にはその業績を顕彰する石碑が立てられています。

また、地蔵堂のある場所にはもとは「西方寺」がありましたが、大火後に寺山風致地区の中腹にあたる現在地に移っており、特に明和2年(1765)に再建された「普明閣」は、京都の清水寺を思わせる舞台造りの建築物で、竹原の古い町並みが見渡せる絶好のビュースポットでもあり、竹原市重要文化財として指定されています。

このほかにも、寺山の中腹には、木村城主竹原小早川氏が寄進したという国重要文化財の銅鐘(高麗鐘)をもち、同じく国重要文化財の「春風館」を立てた頼春風の墓もある「照蓮寺」、羽柴秀吉の「四国攻め」に敗れ竹原に逃れたものの病没(暗殺説あり)した伊予の戦国武将・河野通直の菩提を弔うために小早川隆景が創建し、代官の鈴木重仍や先祖の墓前で切腹した尊王論者・唐崎常陸介の墓もある「長生寺」、願い事を思い浮かべながら抱えて軽ければ成就するという「おかかえ地蔵」などがあります。

さらに、竹原地区重要伝統的建造物群保存地区には、格子戸のある立派な構えの町家が連続し、『日本外史』を著した文人・頼山陽の祖父が住んだ「頼惟清旧宅」、頼春風と婿養子・頼小園の屋敷である「春風館・復古館」、近代の塩田経営者の豪邸「旧笠井邸」、江戸時代の庄屋の屋敷「松阪邸」、もとは復古館の離れで座敷で陶芸作品を展示する「光本邸」などの見どころがあり、一部は内部を見学することが可能です。

竹原の街並みでは無数の竹筒にろうそくの明かりを灯す「憧憬の路」、江戸時代以来の雛人形を展示する「たけはら町並み雛めぐり」などのイベントが定期的に行われているほか、数々の映像作品の舞台としても登場しており、NHK連続テレビ小説『マッサン』(竹鶴酒造)、アニメ『たまゆら』(西方寺普明閣、お好み焼き・醤油ほり川、茶房ゆかり、照蓮寺、旧日の丸写真館など)、映画『時をかける少女』(1983年版、胡堂)、などが知られます。

車椅子で旅行するポイント

【1】竹原町並み保存地区の近くにある道の駅たけはら。玄関前および一般駐車場内に身障者用スペースを設置。内部には身障者用トイレもある。
【2】本川の対岸には舗装された新町市営駐車場(有料)があり、出口付近に身障者用スペース2台分を設置。
【3】本川を渡って旧日の丸写真館の角から町並み保存地区が続く。地区内は古い商家が連なり道路はインターロッキング舗装されている。
【4】竹原町並み保存地区内の地蔵堂。門扉か脇の開口部から境内に入れる。堂内に地蔵の石仏を安置し、境内には他に香炉と石碑がある。
【5】竹原市歴史民俗資料館の裏手(憧憬の広場)に身障者用トイレあり。入口に手すり付きスロープを設置している。





移動のしやすさ

★★★★☆

バリアフリーの状況

地蔵堂周辺は竹原地区重要伝統的建造物群保存地区のためにインターロッキング舗装されており、自動車の通行も少なく、移動の上では特に支障はない。道路の突き当りに建つ胡堂を除き、西方寺普明閣、照蓮寺、長生寺などの地区内の仏閣のほとんどが石段となっているのが難点だが、少なくとも古い町並みを散策して外観だけでも楽しむことは可能。身障者用トイレは地区内の竹原市歴史民俗資料館、道の駅たけはら内にある。竹原市歴史民俗資料館のほうは裏庭(「憧憬の広場」)の目立たない位置にトイレ棟があるので注意。

周辺の名所・観光スポット

道の駅たけはら

歴史的景観が残る「町並み保存地区」の入口に位置する道の駅で、瀬戸内の海と山の幸が集まる旬市場やフレンチレストラン、道路情報・観光情報コーナー、地域交流スペースなどを設けている。【身障者用トイレ、エレベーター、身障者用駐車場(玄関前2台分、橋向うの一般駐車場に1台分を確保している)などを併設】

■参考リンク:味めぐり・まちめぐり 道の駅たけはら

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このページの執筆者
@tabisora110