龍興寺
龍興寺は、栃木県下野市にある真言宗の寺院です。かつて「本朝三戒壇」のひとつが置かれた下野薬師寺の別院で、奈良時代に唐の龍興寺と同じ名前を付けて行基が開基したと伝えられています。境内には宇佐八幡宮神託事件で左遷された道鏡の墓とされる円墳「道鏡塚」や、同じく鑑真の供養墓である「鑑真和尚碑」があります。
旅行先の地図
(この地図の緯度:36.395464, 経度:139.877383)
旅行先の概要
御本尊 | 地蔵菩薩 |
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所在地 | 栃木県下野市薬師寺1416 |
交通 |
JR宇都宮線(東北本線)「自治医大駅」から徒歩約30分 北関東自動車道「宇都宮上三川IC」から車で約15分 |
拝観料 | 無料 |
駐車場 | 東西の参道近くに舗装済みまたは砕石が敷かれた無料駐車場(50台)あり |
URL | http://www.ryukouji.org/ |
連絡先 | 龍興寺 0285-48-0115 |
歴史・由来
龍興寺は、栃木県下野市にある真言宗智山派の寺院で、下野薬師寺の別院とされています。
縁起によれば、下野薬師寺は天武天皇の勅願によって、白鳳8年(私年号、680年)に大和薬師寺の祚蓮(それん)が建立したと伝えられていますが、一般には7世紀末に天武天皇に仕えていた地方豪族の下毛野朝臣古麻呂が創建したとする学説のほうが知られています。
天平宝字5年(761)、世にいう「本朝三戒壇」として、大和東大寺とともに筑紫観世音寺、下野薬師寺に僧侶の授戒のための戒壇が置かれることになると、鑑真がかつていた唐の龍興寺(揚州)の舎那殿壇の法を伝え、「龍興寺戒壇院」と名付けて開基したのがはじまりとされています。
下野薬師寺はその後、平安時代には火災に遭うなどして既に衰退しており、鎌倉時代にいったん慈猛(じみょう)上人が戒壇を再興しますが、南北朝時代には足利尊氏が戦死者供養のため諸国に建立した「安国寺」のひとつとして取り込まれ、暦応2年(1339)に「安国寺」に改称します。そして戦国時代の元亀元年(1570)には、北条氏政と多賀谷政経の合戦に巻き込まれ、伽藍や寺宝がほぼ焼失してしまいます。
近世に入ると、旧伽藍に安国寺が再建されて領主の佐竹氏(秋田藩の飛地)から寺領10石の寄進を受け、同じく龍興寺も寺領20石を寄進されますが、戒壇の帰属がどちらの寺院になるのかを巡って争いが生じています。
現在、国史跡下野薬師寺跡に建つ安国寺は、かつての戒壇があった跡という「六角堂」を所有し、対する龍興寺のほうは、道鏡の墓と伝わる古墳「道鏡塚」と、鑑真の墓と伝わる「鑑真和尚碑」を所有して、それぞれ棲み分けを図っています。
六国史のひとつの『続日本紀』には、太政大臣禅師・法王の地位に上った道鏡が、宇佐八幡神託事件で失脚して造下野薬師寺別当として左遷され、宝亀3年(772)に亡くなった際には「死以二庶人一葬レ之」と書かれていますが、この円墳は考古学的に見ると6世紀末に築造されたもので、後から追葬されたといわれています。
鑑真大和上の墓は奈良・唐招提寺(開山御廟)にもありますが、龍興寺の「鑑真和尚碑」は境内西側墓地の菩提樹の脇にある笠付きのもので、表面に「鑑真大和尚」、側面に「天平寶字七壬寅五月五日」と刻まれ、鑑真の弟子が師を慕って建てた供養墓と見られています。江戸時代に松平定信らが編纂した『集古十種』にも「下野国薬師寺村龍興寺鑑真和尚墓誌」として登場しており、古くから知られていたことがわかります。
また、最近では地蔵菩薩や薬師如来の手描きの尊像が入った書き置きの御朱印が人気で、心願成就の「叶札」とともに境内の寺務所で頒布しています。
車椅子で旅行するポイント
枡形境内 山門 鐘楼 本堂 蔵庫 庫裡 講堂 客堂 自治医大聖霊殿 道鏡塚 墓地 鑑真和尚碑 吉田ヶ池:龍王権現を祀る雨乞いの池。 竜興寺二月堂:飛地境内の円墳上に建つ。他には東大寺二月堂の例を見るのみという。 東参道 薬師寺小学校 薬師寺4丁目交差点 薬師寺交差点 国道4号 栃木県道310号下野二宮線 栃木県道146号結城石橋線 下野薬師寺跡:国史跡。回廊が復元されている。 安国寺:下野薬師寺の後継寺院。 薬師寺八幡宮:下野薬師寺の鎮守神。 道の駅しもつけ 結城市 |
移動のしやすさ
★★★★★
バリアフリーの状況
龍興寺の境内は墓地などを除く主要な部分が石畳やインターロッキングで舗装されており、駐車場も山門付近にあるのでかなり移動はしやすくなっている。東側700メートル先の国道4号バイパス下には「道の駅しもつけ」があり、24時間利用可能な多目的トイレのほかレストランやフードコートなどが完備され、立地条件も良い。
周辺の名所・観光スポット
下野薬師寺歴史館
下野薬師寺歴史館は、国史跡である「下野薬師寺跡」付近にオープンした現地ガイダンス施設であり、館内には発掘された鐙瓦(あぶみがわら)、宇瓦(のきがわら)などの出土遺物、下野薬師寺の伽藍配置復元模型などが展示されているほか、映像コーナー、図書コーナーなどがある。また、上階にはウッドデッキがあり、下野薬師寺跡を一望することができる。また、「下野薬師寺跡」には回廊建物などが復元されており、歴史館でタブレット端末を借りて「下野薬師寺アプリ」を使えば、当時の金堂、五重塔などの主要建物の様子が3Dで再現される。
【身障者用駐車場、身障者用トイレ、エレベーターあり】
■参考リンク:下野薬師寺歴史館