清見寺

2014年3月3日寺院

清見寺(せいけんじ)は、静岡県静岡市の臨済宗の寺院で、近世には琉球使節や朝鮮通信使が滞在し、寺のある高台から望む駿河湾や三保の松原の絶景を賞した場所でした。また、水墨画で有名な雪舟や、自然主義文学の島崎藤村など、古今の文人墨客が訪れた地でもあります。

旅行先について

地図

旅行先の概要

御本尊 釈迦如来
所在地 静岡県静岡市清水区興津清見寺町418-1
交通 JR東海道本線「興津駅」から徒歩約10分
東名高速道路「清水IC」から車で約5分
拝観料 境内無料。ただし、名勝庭園・大方丈・書院・潮音閣【階段あり車椅子不可】の拝観料は大人300円、小学生100円、中学・高校生200円。
駐車場 国道1号(旧道)沿いの総門下ほかに舗装済の無料駐車場(収容台数:15台)あり
URL
連絡先 清見寺 054-369-0028

歴史・由来

清見寺(せいけんじ)は、静岡県静岡市にある臨済宗の寺院で、かつての東海道沿いの駿河湾を望む高台に位置しています。

寺伝によれば、天武天皇の時代、蝦夷を防ぐためにこの地に関所(清見関)が設けられ、その鎮護として近くに仏堂が建てられたのが始まりといいます。

鎌倉時代中期の弘長2年(1262)、関聖上人が清見寺を再興して禅宗の寺院となり、次いで室町幕府を開いた足利尊氏が伽藍を造営して「十刹」の寺格に列し、さらに後醍醐天皇以下の戦没者の菩提を弔う「利生塔」が山内に建立されるなどしており、寺内には古くから足利尊氏の木像が祀られています。

室町時代には足利一門であった駿河今川氏の厚い庇護を受け、駿河湾や三保の松原を望む景勝の地であったことから画僧・雪舟や連歌師・宗長といった文人墨客も多く訪れます。

天文8年(1539)、今川義元の軍師として名高い太原雪斎(太原崇孚)は清見寺に入山して中興の祖となり、当時今川氏の人質であった徳川家康もこの寺に来て雪斎に学んだといわれ、大方丈の裏手には「家康公手習いの間」とされる遺構が残されています。

江戸時代に入ると、清見寺は徳川氏の帰依を受けて202石の朱印地を有し、三葉葵の紋の使用を許されたほか、江戸に至る東海道に隣接することから琉球使節や朝鮮通信使の接待所としても利用され、現在も大方丈には宜野湾王子尚容(朝祥)筆の「永世孝亨」の額や朝鮮通信使の詩文などが掲げられています。

明治時代の廃仏毀釈の際には廃寺を免れ、逆に明治天皇や大正天皇の行幸の際の休息所として利用されており、現在も奥書院には「お成りの間」が保存されています。

また、自然主義文学の島崎藤村は、天明の飢饉の際に造立されたという清見寺裏山の五百羅漢の情景を小説『桜の実の熟する時』に記し、歌人の与謝野晶子は徳川家康が植えたという臥龍梅を見て「龍臥して 法の教へを聞くほどに 梅花の開く 身となりにけり」と詠むなど、しばしば近代文学作品にも登場しています。

車椅子で旅行するポイント

【1】国道1号(旧道)の清見寺入口。総門下に舗装駐車場。脇の跨線橋を渡り東海道本線で分断された境内へ。
【2】跨線橋の先、右手に清見寺の山門。階段と門の敷居に段差があるので迂回する。

【3】跨線橋の先、左手には墓地の砕石敷駐車場。駐車場にある建物脇から段差なく境内へ進入可。
【4】建物脇から山門前まで平坦な石畳の通路が延びている。
【5】清見寺境内。仏殿、大方丈、潮音楼へは平坦な石畳の参道あり。建物内は階段につき車椅子不可。
【6】仏殿左手に五百羅漢。裏山に登る階段路につき車椅子不可だが遠望可。





境内配置図 [凡例]
仏殿 大玄関 血染めの天井 大方丈 家康公手習いの間 書院 御成の間 名勝庭園 臥龍梅 庫裡 拝観受付 潮音閣 鐘楼 山門 田中清左衛門尉長吉逆修供養塔 六道地蔵尊 五百羅漢 向井兵庫助政重・向井兵庫頭政綱墓 墓地 清風殿 総門 瑞雲院 跨線橋 東海道本線 国道1号 興津駅 由比 興津埠頭 静清バイパス 静岡市街

移動のしやすさ

★★★★☆

バリアフリーの状況

清見寺は東海道本線の建設時に境内が線路で分断されているが、国道1号から跨線橋を通って自動車のまま線路の先まで渡れるようになっている。山門には石段があるが、左手の墓地手前にコンクリート舗装された通路があり、ここから境内に入れる。境内の参道部分は石畳で舗装されており平坦である。

周辺の名所・観光スポット

由比本陣公園

江戸時代の参勤交代などで大名が宿泊した由比本陣の跡地で、公園として開放されている。園内には芝生広場のほか、明治天皇の行幸の際に利用された離れ座敷を記念館として復元した「御幸亭」、「東海道五十三次」などの歌川広重の風景画を中心に約1400点の浮世絵を収蔵・展示する「東海道広重美術館」がある。
【身障者用トイレ・駐車場・スロープあり】

■参考リンク:由比本陣公園

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このページの執筆者
@tabisora110