筑波山大御堂

2016年7月4日寺院

大御堂(おおみどう)は、茨城県の筑波山麓にある寺院で、東京の護国寺の別院、坂東三十三箇所観音の第25番札所となっています。神仏習合であった時代には、現在の筑波山神社と一体として信仰されており、徳川将軍家とのつながりも深いものがありましたが、明治初期の神仏分離によって堂宇が破却され、のちに再建されました。

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旅行先の地図

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旅行先の概要

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御本尊 千手観世音菩薩
所在地 茨城県つくば市筑波748
交通 つくばエクスプレス「つくば駅」(「つくばセンター」)から関東鉄道バス筑波山シャトルで約40分、「筑波山神社入口」停留所下車、徒歩約5分【ただし、バス停からは坂道のため、車椅子では困難】
常磐自動車道「土浦北IC」から車で約30分
拝観料 無料
駐車場 境内正面(石段下)に砕石敷の無料駐車場あり
URL
連絡先 筑波山大御堂 029-866-0126

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歴史・由来

大御堂(おおみどう)は、茨城県の筑波山麓にある寺院で、東京の護国寺の別院、坂東三十三箇所観音の第25番札所となっています。

男体山、女体山というふたつの峯からなる筑波山は、古くから筑波男大神(つくばおのおおかみ、伊弉諾尊とされる)、筑波女大神(つくばめのおおかみ、伊弉冉尊とされる)が宿る山として信仰されていました。

延暦年間(782年~806年)、最澄との「三一権実論争」で知られる徳一が、この山の中腹に筑波山寺(のち「筑波山知足院中禅寺」)を開き、筑波男大神の本地仏として千手観音を祀るようになると、神仏習合が進み、もともとの山岳信仰とあわせて、山伏の修行の場となり、「筑波山禅定」として、修行のための登山も盛んとなります。

中世には常陸守護となった御家人・八田知家の子である法眼明玄(筑波為氏)が筑波山別当に就任して以降、その子孫は代々「筑波氏」を名乗って別当職を継ぎ、これは徳川家康が江戸城に入城するまで続きます。

徳川家康は筑波氏を追い出すと、大和国長谷寺から宥俊を迎えて筑波山別当とし、寺領500石を寄進して、江戸城の北東の鬼門鎮護の祈願所として再興に努め、次いで光誉は大坂の陣に従軍して戦勝を祈願し、その際に現在も筑波山名物として有名な陣中膏「ガマの油」をつくったとされています。

光誉の次の栄増の代には、3代将軍・徳川家光が本堂、三重塔、鐘楼、仁王門、境内社などを大々的に再建しますが、そのときに材木を筑波山に引き上げる目的で、山麓の筑波北条からほぼ直線的に続く道路を築造したことから、その後も旅籠や遊郭などが軒を並べる参詣道としてにぎわったほか、現在でも「つくば道」として「日本の道100選」に選定されています。

光誉の時代にはすでに、2代将軍・徳川秀忠から、知足院は江戸にも寺領を与えられて別院を建てていましたが、5代将軍・徳川綱吉の時代になると、知足院の住職・隆光が重用されるようになり、寺領はあわせて1500石となったほか、江戸神田橋外にも広大な寺領を与えられて「護持院」と改称します。

この隆光は、「生類憐れみの令」を将軍綱吉に奨めたとされる人物であり、綱吉没後に失脚し、隆光のいた護持院もその後は火災に遭ったために護国寺本坊に移され、明治時代に護持院は廃されて護国寺に吸収されました。

江戸時代末になると、水戸学の大家である藤田東湖の子・藤田小四郎が、尊皇攘夷を実行するためとして、大御堂に本陣を置いて挙兵し、「天狗党の乱」が勃発しますが、天狗党一行は京都まで西上する途中の敦賀で力尽き、幕府討伐軍の総督の田沼意尊による取調べにより、藤田小四郎は斬首の上、首級は水戸藩に送られて晒し首となり、他にも総勢で350人以上が処刑されました。

明治時代には、廃仏毀釈によって筑波山内の仏教施設はことごとく破却され、大御堂のあった跡にも筑波山神社の拝殿が建てられ、仁王門は随神門にすり替わりましたが、昭和5年(1930)に大御堂だけが復興されました。

車椅子で旅行するポイント

筑波山大御堂では令和2年(2020)に本堂が再建されており、以下の写真・説明文と現況は異なりますのでご注意ください。
現在は本堂裏手の門扉からアスファルトや石畳で舗装された通路を経由して境内を移動することができ、かつ本堂にもスロープが付いているとの情報があります。
oomidou_temple_1.jpg 【1】大鳥居近くの筑波山観光案内所。身障者トイレと駐車スペースがある。ただし、大御堂からは450メートル離れており、途中は坂道のため、車以外での移動は困難。
oomidou_temple_2.jpg 【2】「大御堂近道」看板はスルーして、ホテル青木屋前の坂道を登る。鋭角の三叉路につき、いったん転回場で車をUターンしてから進入する。
oomidou_temple_3.jpg 【3】坂道を少し登ると筑波山神社駐車場の反対側に大御堂の駐車場がある。砕石敷で参拝者無料。
oomidou_temple_4.jpg 【4】大御堂の駐車場から本堂へは階段のため車椅子は不可。
oomidou_temple_5.jpg 【5】鐘楼のわきに舗装された別の入口があるのでここから車椅子で入れる。ただし、坂道の途中に開口しているので要注意。
oomidou_temple_6.jpg 【6】筑波山大御堂前。移動距離はいくらもないが、境内はコンクリート舗装と玉砂利で平坦。


筑波山大御堂境内図

移動のしやすさ

★★★☆☆

バリアフリーの状況

大御堂の境内はかなり狭いので、特に移動に支障を感じるまでもないが、進入口は坂道の途中にあたるという点にだけは注意のこと。また、身障者用の公衆トイレもかなり遠くにあり、隣接の筑波山神社を含めて参拝するときには余裕をもって行動する必要がある。

周辺の名所・観光スポット

筑波山

西の男体山と東の女体山の2つの峰からなり、両山頂に筑波山神社本殿を擁するする標高877mの山。関東平野にそびえる山容が美しく、「日本百名山」のひとつであり、陽成院の御製「筑波嶺の峰よりおつるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる」でも有名。ハイキングコースにはかつての修験道場の名残として「高天原」「母の胎内くぐり」「陰陽石」などの奇岩が連なるほか、ロープウェイで空中散歩もできる。
【ロープウェイは車椅子での乗車が可能で、スロープ、身障者トイレ、身障者割引(手帳提示で半額)あり。ただし、「女体山駅」から上は階段および悪路(山道)のため車椅子不可】

■参考リンク:筑波山ケーブルカー&ロープウェイ

このページの執筆者
@tabisora110