正東山日本寺

2018年3月6日寺院

日本寺(にちほんじ)は、千葉県香取郡多古町にある日蓮宗の寺院で、鎌倉時代の元応元年(1319)に日祐上人が開基したと伝えられています。江戸時代には日蓮宗の僧侶の学問所である「中村檀林」が置かれ、飯高檀林、小西檀林とともに「関東三大檀林」のひとつとして多くの学僧を受け入れ、明治の学制発布の頃まで続きました。山門の扁額の「正東山」の文字は本阿弥光悦の揮毫といわれます。近年では境内に植えられた8千本あまりの紫陽花を見に訪れる参拝者も増えています。

広告

旅行先の地図

広告

旅行先の概要

御本尊 三宝尊
所在地 千葉県香取郡多古町南中1820
交通 銚子連絡道路「横芝光IC」から車で約20分
京成電鉄成田空港駅から千葉交通バス(八日市場又は山倉行き)経由で約45分、「南中」停留所下車、徒歩約3分
拝観料 無料
駐車場 境内にアスファルト舗装または砕石の無料駐車場あり
URL
連絡先 日本寺 0479-76-3745

広告

歴史・由来

日本寺(にちほんじ)は、千葉県香取郡多古町にある日蓮宗の本山です。

鎌倉時代の元応元年(1319)、領主の千葉(千田)大隅守胤貞から境内地の寄附を受け、その猶子である中山法華経寺(当時は本妙寺)3世貫首の日祐上人が開基し、師にあたる日常上人をもって開山としたと伝えられています。

天正15年 (1587) には中山法華経寺の日俒(にちごん)上人が戦国大名の北条氏政から寺領の寄進を受けて現在地に移転し、堂宇を拡張していいます。

北条氏に次いで関東の覇者となった徳川家康も、天正19年(1591)に先例に倣って朱印地15石を寄進し、これまで「東福寺」と称していた寺号は「日本寺」に改められます。

慶長4年(1599)、日円上人によって日蓮宗の僧侶養成のための学問所である檀林が開設され、以後は江戸時代を通じて、「飯高檀林」(現在の匝瑳市)、「小西檀林」(大網白里市)に並ぶ「関東三大檀林」のひとつの「中村檀林」として多くの学僧を迎え入れ、最盛期には檀林の東谷・西谷あわせて37の学寮があったといいます。

なお、この間の寛永7年(1630)には、法華経を信仰しない者から施しを受けず、また施しもしないという「不受不施派」の教義をめぐり、不受不施派の代表格の池上本門寺とこれに反対する「受布施派」の身延山久遠寺が江戸城内で宗論を戦わせた、いわゆる「身池対論」が起きており、中村檀林の日充上人が不受不施派として参加しています。

しかし「身池対論」では不受不施派が敗れて幕府の弾圧を受けており、日充上人は奥州岩城に流罪となり、領主・内藤忠興のもとに預けられたほか、同派の拠点のひとつだった中村檀林も身延山久遠寺に接収されています。

明治時代に入ると、「学制」発布を受けて明治8年(1875)をもって廃檀となり、以後は寺院として存続するものの、住職無住の期間に境内が荒廃したことから、日慶上人が本堂や庫裏などを再興しています。

日本寺の境内にある経蔵、妙見社、鐘楼などの建物は江戸時代のものが残り、山門の扁額は能書家として知られる本阿弥光悦の筆になるもので、池上本門寺、中山法華経寺と並ぶ「関東三額」のひとつです。

現在では境内に8千株もの紫陽花が植栽され、「あじさい庭園」として整備されていることから、6月上旬から7月上旬にかけてのシーズン中はあじさい鑑賞に訪れる参拝者も多く、毎年6月には童話劇やジャズライブなどの催しを含む「あじさい祭り」が行われます。

車椅子で旅行するポイント

正東山日本寺_1.jpg 【1】県道沿いにある日本寺入口。看板にしたがい墓地の中の砂利道を進む。
正東山日本寺_2.jpg 【2】途中のあじさい遊歩道入口に舗装駐車場とトイレ棟。身障者トイレを併設している。
正東山日本寺_3.jpg 【3】身障者トイレ内部。スライド扉、手すりあり。トイレ棟に入るときの間口が狭いので注意。
正東山日本寺_4.jpg 【4】山門には段差があるが右脇はすぐ砕石を敷いた駐車場なので迂回できる。
正東山日本寺_5.jpg 【5】山門より先の参道も県道からの砂利道がそのまま本堂方面まで続いている。
正東山日本寺_6.jpg 【6】日本寺の本堂前。周囲は砂利敷の広場で、本堂上り口にコンクリートのスロープと手すりがある。
正東山日本寺_7.jpg 【7】本堂左手奥の妙見宮・岡田稲荷・豊田稲荷まで砂利道がつながっている。
正東山日本寺_8.jpg 【8】本堂左手から七面池に下る遊歩道の坂道の途中にもトイレ棟がある。
正東山日本寺_9.jpg 【9】アコーディオン扉の身障者トイレは個室内が狭く車椅子での使用は実際には難しい。


正東山日本寺境内図

広告

境内配置図 [凡例]
本堂 庫裏 鐘楼:享和3年(1803)建築。 経蔵:承応2年(1653)建築。 水盤 豊田稲荷・岡田稲荷:夫婦稲荷と呼ばれる。 妙見宮:元禄10年(1697)建築。千葉県の守護神。 七面池 参道 遊歩道 あじさい庭園 山門 夫婦銀杏 学僧の墓 墓地 看板 千葉県道74号多古笹本線

移動のしやすさ

★★★★☆

バリアフリーの状況

県道沿いの日本寺の入り口から延びる参道は砕石で舗装されており、そのまま自動車で境内まで入れるようになっている。本堂の上り口にはコンクリート製のスロープと手すりも設置されている。身障者トイレは2箇所あるが、本堂に近い七面池に至る下り坂の途中にあるトイレは間口が狭く、車椅子の表示はあっても実際に利用するには困難がある。このため利用するのであれば、舗装された駐車場が併設された山門手前のトイレのほうがよい。

周辺の名所・観光スポット

道の駅多古あじさい館

多古町を流れる栗山川のほとりにある道の駅。ふれあい市場では葉物野菜などの農産物や牛乳・アイスクリームなどの特産品を販売している。多古米や大和芋を使った食事を提供するレストラン「キッチンTAKO」も併設されている。道の駅外周には遊歩道が整備され、栗山川と一帯に広がる田園風景を眺望できる。

【身障者用駐車場・トイレ・スロープ・エレベーターあり】

■参考リンク:道の駅多古あじさい館

このページの執筆者
@tabisora110