立鉾鹿島神社

2018年5月14日神社

立鉾鹿島神社は、福島県いわき市に鎮座する神社です。武甕槌神が東北平定のためにこの地を訪れ、当時は「塩干山」と呼ばれていた山に登って鉾を立てたのが社名の由来とされています。創建年代は不明ですが、平安時代の『日本三代実録』によると、鹿島神宮の宮司の言葉として、陸奥国磐城郡に「大神之苗裔神」が11柱祀られているとあり、そのなかに立鉾鹿島神社が該当するとみられています。以前は岩山の頂上に社殿があったものの、後に戦国大名の岩城親隆によって現在地に再建されています。5月の例大祭では神輿が町内を巡行し、稚児舞や里神楽が奉納されます。

広告

旅行先の地図

広告

旅行先の概要

御祭神 武甕槌神
所在地 福島県いわき市平中神谷字立鉾33番地
交通 常磐自動車道「いわき四倉IC」から車で約20分
JR常磐線「いわき駅」から新常磐交通バス(草野駅行き)経由で約10分、「平六小入口」停留所下車、徒歩約10分
拝観料 無料
駐車場 境内拝殿下に駐車可
URL
連絡先 立鉾鹿島神社社務所 0246-34-2106

広告

歴史・由来

立鉾鹿島神社は、福島県いわき市に鎮座する神社です。

祭神にあたる武甕槌神が東北平定のためにこの地を訪れ、当時は「塩干山」と呼ばれていた山に登って鉾を立て、東北を睥睨したことが社名の由来とされています。

創建年代は不明ですが、平安時代に編纂された『日本三代実録』には、貞觀8年(866)に常陸国の鹿島神宮の宮司が朝廷に言上した内容として「大神之苗裔神卅八社在陸奧国。菊多郡一。磐城郡十一。(以下略)」とあり、鹿島神宮からかつて幣帛を受けた陸奥国38社、そのうち磐城郡の11社のひとつに該当するとみられています。

大同2年(807)、この地に魍魎(もうりょう:妖怪)が現れて人々を悩ませたため、神職の藤原信次が辻に鉾を立て、社殿に籠もって祈祷をして退治したと伝えられています。

また、社殿は当初は山頂に建てられていたものの、天暦3年(949)に赤目崎(今の平城址)の領主・平則重によって山下に遷され、天正元年(1573)に火災で焼失後、天正5年(1577)に戦国大名の岩城親隆によって現在地に再建されたともいいます。

近世に入るとこの一帯は磐城平藩の支配下に置かれましたが、藩主の内藤家の悪政により元文3年(1738)に「元文百姓一揆」が勃発、頭取の一人として中神谷村(なかかべや:古くは「頴谷(かひや)」と書いた地名)名主・佐藤武左衛門が鎌田川原で処刑され、内藤家も責任を負って日向国延岡藩に転封となったため、以後は短期間の天領時代を経て、幕末まで常陸国笠間藩・牧野家の飛び地の領地となります。

こうしたなかで、立鉾鹿島神社は歴代領主の崇敬も篤く、地元の「草野郷総鎮守」として位置付けられ、厄難消除などに御利益がある「正一位立鉾大明神」の名で呼ばれますが、神仏判然令が出された明治時代になると「立鉾鹿島神社」の社号に改められています。

なお、明治30年(1897)に当時の日本鉄道磐城線、現在のJR常磐線が水戸駅から久ノ浜駅まで開通しており、このときに以前からの表参道が鉄道によって分断されたため、電車の車窓からは線路の両側に鳥居が見えるものの参道が見当たらないという珍しい風景になっています。

毎年5月4日みどりの日に挙行される例大祭では神輿が町内を巡行し、稚児舞や里神楽が奉納されますが、このときばかりはJRの立会いのもと、神輿が鳥居を出て、直接線路を横切って、かつての参道を進みます。

車椅子で旅行するポイント

立鉾鹿島神社_1.jpg 【1】立鉾鹿島神社の正面参道は鉄道で塞がれているので踏切を渡り西参道から自動車で進入する。
立鉾鹿島神社_2.jpg 【2】社務所前は平坦地だがその先の社殿までの参道は石段になっている。
立鉾鹿島神社_3.jpg 【3】稲荷神社や山倉神社へは階段から立鉾山に登る必要があるので移動困難だが、下からも断崖の様子がわかる。
立鉾鹿島神社_4.jpg 【4】後ろ向きに進むには心もとないが石段を避ける玉砂利が敷かれたスロープ状の参道もある。
立鉾鹿島神社_5.jpg 【5】立鉾鹿島神社の社殿付近。参道は舗装され周囲は玉砂利が敷かれている。


立鉾鹿島神社境内図

広告

境内配置図 [凡例]
社殿 立鉾稲荷神社 山倉神社 伏見稲荷神社 立鉾山 菅原神社 鳥居 手水鉢 社務所 トイレ 為戊辰役各藩戦病没者追福碑:戊辰戦争で平藩(奥羽越列藩同盟で幕府側)・笠間藩(新政府側)に分かれ神谷陣屋の攻防戦があったので戦前に供養碑を造立。 いわき市立平第六小学校:江戸時代の笠間藩神谷陣屋跡。 立鉾踏切 神谷公民館 常磐線


移動のしやすさ

★★★☆☆

バリアフリーの状況

立鉾鹿島神社の境内はそれほど広くはなく、自動車で拝殿下までは進入できる。歩行可能ならば石段を避けて西側の菅原神社前のスロープ状の参道から社殿まで移動する手もある。山倉神社などが鎮座する立鉾山の絶壁は山上まで登れなくても見応えはある。身障者用トイレは100メートル未満の距離に神谷公民館があるので、施設内のものを利用するとよい。

周辺の名所・観光スポット

アクアマリンふくしま

太平洋に面した小名浜港内に立地する福島県の県立水族館。黒潮と親潮が交錯する「潮目の海」をテーマとした、三角トンネルでのカツオ・マイワシ・サンマ・エイなどの展示を行うほか、イトヨ・ヤリタナゴなどの福島県に生息する魚類、トド・ゴマフアザラシなどの北海に棲む大型ほ乳類、アジアアロワナ・ミナミトビハゼなどの熱帯魚を飼育している。釣りや餌やり、夜間の水族館の見学などの各種体験プログラムも充実している。

【身障者用駐車場・トイレ(オストメイト可)・スロープ・エレベーター・車椅子貸出あり。障害者手帳提示で本人無料、第1種の場合は介助者1名まで無料】

■参考リンク:アクアマリンふくしま

このページの執筆者
@tabisora110