安楽寺

2016年8月1日寺院

安楽寺は、長野県上田市の別所温泉にある曹洞宗の寺院で、国宝の八角三重塔があることで知られます。この八角塔は、歴史的な木造建築としてはわが国でも現存する唯一のものとなっています。また、禅宗の寺院としても、鎌倉の建長寺などと並ぶ古さを誇っています。

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旅行先の地図

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旅行先の概要

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御本尊 釈迦如来
所在地 長野県上田市別所温泉2361
交通 上田電鉄「別所温泉駅」から徒歩で約15分
上信越自動車道「上田菅平IC」から車で約30分
拝観料 境内本堂までは無料。本堂内の「大阪夏の陣図屏風」の観覧も無料【拝観時間は8時~17時(11月~2月は16時終了)。ただし堂内は車椅子不可】
経蔵・伝芳堂・八角三重塔は拝観料として大人300円、小人100円【階段のため車椅子不可。拝観時間は同上】
駐車場 境内下に砕石敷の無料駐車場あり。車道の坂を上って境内にも舗装駐車場(3台程度)あり
URL
連絡先 安楽寺 0268-38-2062

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歴史・由来

安楽寺は、長野県上田市の別所温泉にある曹洞宗の寺院で、天平年間(729〜749)に行基が建立したと伝えられる安楽寺、常楽寺、および長楽寺(江戸時代に焼失して現存せず)からなる、いわゆる「別所三楽寺」のひとつです。

安楽寺については平安時代の天長年間(824~834)に創建されたという伝えもあるものの明らかではなく、実質的には鎌倉時代の臨済宗の僧侶の樵谷惟僊(しょうこくいせん)が開山となっており、境内の「傳芳堂」には、嘉暦4年(1329)の像内銘がある頂相(ちんぞう)彫刻として、開山の木造惟仙和尚坐像、2代目の木造恵仁和尚坐像がそろって安置され、国の重要文化財に指定されています。

この樵谷惟僊は、建長年間(1249~1256)の末に入宋し、天童山(中国・淅江省)の別山祖智らに学んだ後に帰朝し、安楽寺を開いて40余年にわたって後進の指導にあたったと『本朝高僧伝』(巻23)では伝えており、安楽寺に残る「蘭渓道隆尺牘」(せきとく:漢文の手紙)からは、樵谷惟僊が鎌倉・建長寺の開山である蘭渓道隆とも親交があったことが伺われます。

蘭渓道隆の語録である『大覚禅師語録』(下、普説)には、「塩田和尚」(塩田平にある安楽寺の和尚の意味から樵谷惟僊と同一人物とされる)が「建長と塩田は各々一刹に拠り、或は百余衆、或は五十衆、皆是れ頭を聚めて仏法を学び、禅を学び、道を学ばむことを要す」と説法をしたことが書かれていることから、鎌倉時代からすでに建長寺と並び、50人ほどの学僧を抱える禅宗寺院であったことがわかります。

鎌倉幕府の連署として執権・北条時宗を支えた北条義政は、安楽寺のある信濃国塩田荘に所領を構え、信濃善光寺を詣でて突然出家した後はこの塩田平に隠棲していることから、安楽寺が栄えた背景には、塩田流北条氏の庇護があったとみられています。

塩田流北条氏は、義政の子の国時、さらにその子の俊時まで続くものの、『太平記』の「塩田父子自害の事」にあるとおり、新田義貞の鎌倉攻めの際に親子ともども自害して途絶えてしまいますが、その後の室町時代にも、引き続き安楽寺は五山制度のなかの「諸山」としての高い寺格を与えられていたことが義堂周信の『空華集』の記載から知られます。

しかし、戦国時代にかけてはその安楽寺も荒廃してしまい、天正年間(1573~1593)のころまでに、長篠の戦いで戦死した真田信綱の位牌所・信綱寺の開山である高山順京(こうざんじゅんきょう)の手によってようやく再興され、以後は臨済宗から曹洞宗の寺院に変わって現在に至ります。

安楽寺後背の山腹は墓地になっていますが、その一角には、初重に裳階(もこし)が付けられていることから4層にも見える、本格的な禅宗様でつくられた「八角三重塔」が残されており、これはわが国の歴史的な(昭和より前の)建造物としては唯一現存する八角塔であることから、国宝に指定されています。

車椅子で旅行するポイント

anrakuji_temple_1.jpg 【1】消防団車庫を過ぎて七草の湯の脇に安楽寺の黒門がある。道幅が狭い(1台分)が黒門を潜って自動車のまま直進できる。
anrakuji_temple_2.jpg 【2】安楽寺境内入口。右は通常の参道だが石階段。左は砕石敷の無料駐車場入口。中央の舗装された坂道を車で進む。
anrakuji_temple_3.jpg 【3】坂道の先に安楽寺の舗装駐車場。トイレ方向は3段の階段があるため、車椅子は右の十六羅漢堂・鐘楼方面へ。
anrakuji_temple_4.jpg 【4】十六羅漢堂と鐘楼の間の参道。安楽寺境内は本堂までこのように石畳で舗装されており車椅子での移動が可能。
anrakuji_temple_5.jpg 【5】参道の途中のトイレ棟。身障者用トイレも併設されている。
anrakuji_temple_6.jpg 【6】安楽寺本堂。ここまでは車椅子でも移動可。左折すると拝観料を納めて八角三重塔まで行けるが石階段のため車椅子不可。
anrakuji_temple_7.jpg 【7】安楽寺の八角三重塔。車椅子は不可だが、手すりのある石階段を登った先の高台の墓地内にある。


安楽寺境内図

移動のしやすさ

★★★☆☆

バリアフリーの状況

上田温泉の一角にある安楽寺は、観光客もよく訪れる場所なので、自動車の乗り入れにあたっては、他の歩行者の安全にも注意のこと。安楽寺に至る途中の道路が狭いため、自動車の乗り入れができるかどうか不安になるが、実際には坂道を登った境内まで乗り入れできるので、ここで降車して車椅子に移乗するとよい。境内には身障者用トイレもあり、本堂までであれば移動可能。ただし、国宝の八角三重塔へは石階段となるため、残念ながら車椅子では不可。本堂から見通すことも位置的にちょっと難しい。

周辺の名所・観光スポット

上田城跡公園

天正11年(1583)に真田昌幸が築城した平城で、徳川氏の軍勢を2度撃退した堅城として知られる。現在は公園として整備され、東虎口櫓門などが復元されているほか、二の丸の堀跡がけやき並木の遊歩道となっている。また、市立博物館や市民会館、真田神社なども立地している。
【身障者用トイレ・駐車場・スロープあり】

■参考リンク:上田市>上田城跡公園

別所温泉

上田市西部にある温泉街で、古くは「七久里の湯」と呼ばれ清少納言の『枕草子』にも見える名湯。泉質は単純硫黄温泉で、弱アルカリ性が古い角質層を軟化させ美肌に効果があるという。周辺一帯は「塩田平」と呼ばれ、国宝八角三重塔がある安楽寺のほかにも、『愛染かつら』の舞台となった北向観音などの名のある神社仏閣が多い。
【バリアフリー対応可能の宿泊施設あり】

■参考リンク:別所温泉

このページの執筆者
@tabisora110